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新曲 「〜 リモートアンサンブルのための〜 ISOLATED MOON – Session1 」公開

コロナ禍でステイホームが謳われ、企業ではテレワークが増えた。
「いま、ここ」で演奏していることにこそ大きな意味のある「ライブ」の現場は、テレワークというわけにいかないので、頻度や規模は縮小しつつ、また、緊急事態宣言を受けて開演時間を早めるなど苦心を重ねながら続けられている。

Zoomなどのビデオ通話、テレビ会議がかなり浸透した。目的を持った会議はオンランでも充分で、むしろ無駄話などのノイズが減って効率的になるメリットすらあるように思う。逆に無駄話こそに意味がある「飲み会」はオンラインでは今ひとつで、一時ほどの盛り上がりはないようだ。また、音楽のレッスンや授業はオンラインでもできることが多くあることが分かった。(もちろんオンラインに向いた内容とそうでないものはある。)

一方、オンラインかつリアルタイムでの演奏、共演はどうかというと、インターネットを通じて音声を送ることによる遅延が課題だ。自分の弾いた音がインターネットを通じて遅れて相手に届き、それを聴いて演奏した音がまた遅れて自分に届くので、アンサンブルが成立しにくいのだ。(※1)

ではそこを逆手に取って、遅延によってお互いに音が遅れて聴こえることを前提にした曲を作ってはどうかと考えた。
以前自分のグループのための曲にも使っていたモジュール型作曲の要素も取り入れつつ、小編成(3〜10人以下くらい)リモートアンサンブルのための曲を書いた。
タイトルは「Isolated Moon」。Isolated アイソレイテッドは「孤独な」「孤立した」とか「分離された」「隔離された」という意味。


ぼく自身も参加してオンラインでの演奏を行い収録したのがこの「Isolated Moon – for small ensemble – Session1」だ。
曲自体は、楽器編成を問わないもので、キーや構成も変更できるなどかなり自由度の高い書き方になっている。今回公開する Session1 は、ボーカル、サックス、ギター、コントラバスでのカルテット編成で演奏した。(異なる編成のSession2も公開予定)

そして、この楽曲はクリエイティブコモンズという、著作権自体は保持しつつ、誰でも自由に再利用、再配布が可能な権利形態にするつもりだ。楽譜も自由にダウンロードできるようにしようと思う。(※2)どなたでも自由に演奏してみていただければ嬉しい限り。

「ISOLATED MOON – for small remote ensemble -」
Session 1
Vocal : KOWASE Satomi 小和瀬さとみ
Sax : KAMIMURA Taiichi かみむら泰一
Guitar : HIROKI Koichi 廣木光一
Contrabass : IIDA Masaharu 飯田雅春
Recorded on Feb. 13 , 2021
Mixed and Edited by IIDA Masaharu

(※1)YAMAHAのSYNCROOMというシステムはこの点でかなり優れていて、安定したインターネット環境や使用する環境、スペックによるが、かなり遅延の少ないアンサンブルが可能になっている。今回のセッションにはSYNCROOMとZoomを併用した。また、SYNCROOMは音質と安定性を優先し、遅延をわざと大きめの設定にして演奏した。
(※2)楽譜は下部リンク参照(移調のためにFinaleファイルご希望の方はメールにて承ります)