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ウニが宇宙人を食べる!?

昨日公開した動画「Inspired by 春と修羅・序/宮澤賢治」について各所から感想などいただいてます。
ありがとうございます。

朗読しているテキストの内容について少しだけ説明しようと思います。
何せ丁度100年前の作品です。
宮澤賢治のテキスト自体が簡単なものではない上、朗読で音だけだとますますわかりづらく

「勇気交流伝統の証明?」
「・・・ウニが宇宙人を食べる?」
「申請大中セキセイ(インコ?)」
「白亜紀サガンのソーメン?」

などと意味不明な空耳アワーな部分もあるかと思います笑

全部説明すると長くなるので、冒頭の出だし部分についてだけ、2年ほど前に書いたテキストがあったので再掲します。

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HABUBANオンラインサロン会員向けエッセイ
【デジタル大臣イーダの「鼻から牛乳」Vol.3】より抜粋

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わたくしといふ現象は
仮定された有機交流電燈の
ひとつの青い照明です
(あらゆる透明な幽霊の複合体)
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これは宮澤賢治の「春と修羅」の冒頭部分である。
これはすごい。
どこがすごいかというと、特に出だしの一行「わたくしといふ(う)現象」というところだ。
「わたくしという存在」とか「わたくしという意識」とかではなくて「現象」とした賢治の直観に驚くばかり。

生命の本質を表す表現として「現象」は、確かにふさわしいのだ。
それは近年の科学的知見で明らかになってきている。
HABUBAN デジタル大臣としてはその点をしっかり説明することが責務であろう。

私たちの身体はすべて細胞でできている。
細胞は分子で構成されている。
分子レベルで見ると私たちの身体は常に入れ替わり続けている。
入れ替わる速度は、例えば皮膚の表面なら数日程度、骨なら数年から10年くらいと細胞の部位によって異なるけれど、平均的に身体の90%以上の分子は1年で入れ替わっているらしい。
脳細胞ですら。

それでも維持される「私」の身体や意識とは一体何だろうか。

分子生物学者の福岡伸一氏はそれを「動的平衡」と呼んだ。

私たちの生命は絶え間なく動き、入れ替わりながらも全体としては同一性を保たれている。

似たようなものは他にもたくさんある。
川には常に違う水が流れているけれど多摩川はずっと多摩川で、ある日急に江戸川になることはない。
ブランドや会社もそうだ。
もし社員が総入れ替えになったとしても、駅前のマックはモスバーガーにはならないし、AppleのMac BookもChrome Bookにはならない。

〜ロシアではマクドナルドが撤退した後にまるでモスバーガーのようなロゴのハンバーガーショップがオープンした。
中身はほぼマックなのに名前と見た目だけ変えて(別人のふりをして)営業を開始したニュースを気色悪く感じるのはその意味でも自然なことだ〜

流れ続け、変化し続ける動的な現象、それが生命の本質的な特徴のひとつだ。

賢治は100年前にそのことに気付いていたのだ。

ちなみに「春と修羅」初版本の出版は1924年。
初版の発行部数は1000部だったがほとんど売れず本人が引き取ったらしい。

私たちの身体はそうやって日々変化している。

(エッセイ引用ここまで)
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私たちの身体、もっというと生命はあくまで見かけ上のものであり、本質は目に見えない何らかの外部エネルギーである。
賢治の認識のこういうところに惹かれていて、今回の題材に「春と修羅 序」を選びました。

ちなみに
「・・・ウニが宇宙人を食べ」
は「人や銀河や修羅や海胆は宇宙塵を食べ」
「白亜紀サガンのソーメン」
は「白堊紀砂岩の層面」
が元のテキストであります。
食べ物の話ではありません笑

そんなこともふまえて動画をご覧いただくとまたちがう景色が見えたり聞こえたりするかもしれません。

(動画のサムネイルを変えてみました。前のだとちょっとシリアス過ぎるかなと。しかしこれだと朝ドラ風でさすがに明るすぎるか。色々と試行しています。。)