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「風邪の効用」野口晴哉

この本で述べられるのは「風邪は治療するものではなく、経過するものである。風邪は人間の身体の弾力性を恢復させる機会となり、風邪をひくと身体が整う。風邪自体が治療行為であるとも言える。」という考え方とそれに基づくさまざまな対処法。病気への見方、捉え方を転換させられる名著と言われる。
ぼくもことあるごとに読み返す。

現在、新型コロナウイルスがパンデミックを起こしている。世界的にはリーマンショック以上(へたをしたら世界大戦並み、というのは大げさか)のダメージが生じる可能性が恐れられており、各国は緊急措置をとっている。
フランスやドイツでのトップのリーダシップを見て、アメリカの議会の機能の強さを見て、日本のそれらとの違いに暗澹たる気持ちになるが、それはちょっと置いておく。
(亡くなった方に、心より哀悼の意を表します。)

風邪の原因となる従来のコロナウイルスと違って新型コロナは致死性のウイルスなので、新型コロナのことをただの風邪だろうと見くびることはおすすめしない。個体レベルでは命に関わることだからだ。
しかし同時に、人類という種全体で見れば、新型コロナも成長の過程で遭遇する風邪のようなものなのかもしれない。最初に上げた野口氏の主張の「風邪」を「新型コロナ」に替えるとこうなる。

「新型コロナウイルスは治療するものではなく、経過するものである。新型コロナウイルスは人間の身体の弾力性を恢復させる機会となり、身体が整う。新型コロナウイルス自体が治療行為であるとも言える。」

世界規模で、経済的にも厳しい局面が予想される。しかし、私たちは新型コロナを早過ぎも遅すぎもしないタイミングでうまく経過させることで、人類という身体の弾力性を恢復させる事が出来るのかもしれない。それはかすかなひとつの希望だ。

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